
規則正しい食事の勘違い
一般に食事は三食規則正しく摂ることが大切と言われますが、「時間がくればお腹が空いていなくても食べる」では、体本来の栄養吸収のリズムを崩してしまいます。「お腹が減る」ということは、胃腸での消化・吸収作業が終わっており、かつ、体内でエネルギー(ブドウ糖)の余りがなくなった状態です。そこで体は初めて、新たに栄養を吸収しようと「空腹感」を出すわけです。 空腹感がない状態で食べるということは、胃腸での消化吸収が終わっていなかったり、まだ体内にブドウ糖の余りがある状態、つまり胃腸が栄養を欲しない状態なのに食べるということです。これでは胃腸が休めず、疲れた胃腸では消化・吸収の力が衰えます。またブドウ糖が余っているのに新たに栄養を吸収すれば、体内は栄養が余りすぎた状態になってしまいます。 健康的な食生活の基本は「お腹が空いたら必要な分だけ食べる」です。お腹が空かないということは、体内のブドウ糖にまだ余裕があるか、胃腸が正しく消化・吸収をできる状態ではないということです。消化とは皆さんの考えている以上に体力を消耗し、うまく行えないと体が急速に疲労する大変な作業なのです。「栄養は必要な分だけ摂取する」というのが健康な体を保つ基本です。 あと、よくある間違いが「疲れたからたくさん食べる」です。忙しい仕事の後などは体が疲れているわけで、それは内臓でも同じことです。疲れた状態の体では消化・吸収の力も衰えていますので、逆に少量、または消化のいい食事に抑え、翌日などに新たにたくさんの栄養を摂ればいいのです。「疲れたら食べるより寝る」、そうすれば起きた時には、胃腸には消化・吸収の準備が整っている筈です。
「出す」ことの重要性 「出す」とは排泄のことです。便通を気にされる方は多いと思いますが、便が出ていれば自分を健康と思っている方も多いと思います。体は常に「吸収」と「排泄」というスイッチの切り替えで動いています。まず、食事をした後は「吸収」のスイッチが入るので、そこで「排泄」のスイッチはオフになります。そして吸収が終わったら、「排泄」のスイッチが入ることになります。 「食べたら出る」と思っている方が多いのですが、食べて出るのは腸の内部が渋滞状態で、食べた分を搾り出すようなものです。上記の排泄のスイッチによる「自発的な排泄」ではないので、腸の内部がキレイになることはありません。よい排便とは、食べない時間を長くとることで、腸(大腸)が自分から内容物を搾り出そうとすることでのみ起こるものです。 便通の悪さは、知らず知らずのうちに体の疲れを増大させます。日本人の腸は長く、栄養の少ないものからでも栄養を搾り取れるような構造をしているのですが、ここに滞りが生じると、「腸内腐敗」といって腸の内容物が腐ってしまい、その腐ったものを腸が吸収することになります。栄養の元であった食物が、毒に一変するわけです。 毒を吸収するわけですから、体はその後処理に膨大な体力を使わなければいけません。うまく排泄ができないというだけで、体内では毎日が腸内腐敗=毒との戦いになってしまうので、そこから「毎日疲れやすい」や「寝ても疲れが回復しない」といった慢性疲労の状態に陥るわけです。特に肉類は腸内腐敗を起こしやすいので、肉を好む人は排泄に注意を払いましょう。
栄養を取り過ぎない
ここまで書いた「お腹が減るまで食べない」と「食べないから出る」の2つを実践して頂けると、日々に摂る食事の量が減っていくことは想像して頂けると思います。そこで起りやすい疑問は「栄養不足にならないか?」でしょう。ただ、ここで問題とするのは「栄養の量」ではなく、体の側の「吸収効率」です。いくらたくさんの栄養をとっても、体がそれを吸収できないのでは意味がありません。 過剰な栄養の摂取は胃腸を疲れさせ、便通を滞らせ、栄養を充分に摂取できないばかりか、先の「腸内腐敗」によって体力を大きく消耗させます。誰でも体の中で栄養がスムーズに循環する量というものがあります。これはお金の「収入と支出」のようなもので、バランスが大事です。そして、この適正な量というのは、一般的な現代人の食生活より遥かに少ない量なのが普通です。 あと、これは栄養の循環についての大きな間違いですが、体内のブドウ糖が減ってくると空腹感が出てきます。しかし、実際には体内に予備のブドウ糖を多く蓄えています。この予備のブドウ糖は食事をして「新たなブドウ糖が補充できた」という命令が伝わることで、体内へ「解禁」となります。つまり食事で得たブドウ糖は蓄積に回り、実際に体を動かすブドウ糖は、体内に蓄えられていたものから用いているのです。食べたものがすぐ「エネルギー」に変わるのではありません。 よく「食べないと頭がフラフラする」といった方は、日常で頻繁に栄養を摂取することから、体内で常にブドウ糖が過剰になっているのです。ちょっとしたブドウ糖の欠乏に敏感なだけで、逆に抑えた食生活に切り替えることで安定していきます。現代の様々な病気の原因の多くは、体内の栄養過多にあるのです。
断食のすすめ
「断食」というと大変そうな印象がありますが、体の調子が悪い時に一番効果的なのは「食べない」ことです。野生動物は具合が悪くなると、動くのをやめて安静に徹します。その間は食事も摂りません。これは食事での栄養補給が消化という体力の消耗に繋がり、逆に治癒を遅らせるということを知っているからです。治る力を食事から新たに得るのではなく、体内で蓄積されている栄養から用いるのです。 安静ということは「動かない」だけでなく、内臓も休ませるということです。内臓は肺と心臓を除けば、全ての臓器が栄養の吸収や排泄に関わっています。内臓を休ませるには食事をしないことが一番で(水分は構いません)、体も内臓も休ませる本当の「安静」でこそ、体は早く治るのです。実際に動物は治るまで食事を口にせず、治ってから失った栄養の補給をするのです。 断食で体が治るしくみは、この「内臓の安静」にあります。多くの人が内臓をしっかりと休ませていないことから体調を崩すので、断食には劇的な効果があるのです。ただ、断食と言っても「長期的に食べない」とまでする必要はなく、日常の中で「疲れたら食べない」などと、定期的に内臓を「安静」な状態にするだけでよいのです(半日断食やプチ断食などと言われます)。 日本に欧米の栄養豊富な食生活が入ってきたことで、病気はそれまでの2倍に増えました。昔の質素な食生活では、貧しい人の栄養失調はあっても、病気はそれほど多くなかったのです。体は栄養豊富な食事では真剣に栄養を吸収しようとしませんが、少ない食事からは搾り取るように栄養を吸収しようとします。質素で小量の食事からでも栄養を充分に吸収できる胃腸が、健康な体を作るのです。 |