1月29日提出分 『体のバランス』


 精神的な疲れ(頭の疲れ)が体の疲れを上回った場合には、体を休ませると逆に症状が酷くなったりします。現代人の仕事は同じ姿勢で同じ作業を繰り返したり、眼を長時間酷使することが多いです。それは体が正しい疲れを感じている状態ではありません。正しい疲れというのはやはり運動をすることでしか得られないと思います。

頭ばかりが過剰に使われ疲労を感じてはいても、実際に体はほとんど動かしていないので、運動をすることによって頭とのバランスが取れて楽になることもあるのです。
運動と同じような役割をするのが睡眠です。体の回復に必要な睡眠ですが、頭の中の記憶の整理をする意味でも大切なものです。散らかった部屋の中にいると何となく落ち着かず、掃除をするとスッキリするように、頭で処理することが多すぎて脳が疲労を感じた時、睡眠を取ることで頭の中の情報が整理され、起きると疲労感が消えていることがあります。

体がイライラする感覚が最近になり分かってきて、頭がイライラするよりもツライものだと知りました。睡眠を取ることが出来ないほど神経が昂ぶってしまっているのなら、運動をして体を疲れさせることが安定に繋がるのだと分かってきました。以前は「疲れたら休む」と、ただそれだけだったのですが、体は動かさないとおかしくなります。なぜなら体の内部はいつも動いているからです。自覚していないだけで、24時間いつでも血液は流れているし、自律神経は働いています。運動をしないということは、その体のリズムとのバランスが取れなくなってくるということにもなります。体のイライラは全身バランスの崩れの始まりだと思います。動きのない場所がイライラするのです。以前は感じなかった感覚ですが、きっとみんな子供の頃には分かっていたものなのだと思います。頭で考えて分かるものでなく、ただ体の感覚をそのまま感じるのです。

左右のバランスの違いなど、何となく自分の体が歪んでいると感じている人はいます。それは過剰に動いている側、動きが少なくなっている側があるということです。血液循環が悪くなっているため、イライラするのは動きが少なくなっている側、そして痛みが出るのは過剰に動いている側です。動きが少なくなっている側を動かすようにすると、過剰に動いている側と協調するようになってきます。足を重視するのは、片足だけでの安定はあり得ないからです。足が安定しないと、体に歪みが出てしまうため、骨盤、腹、胸、頸、頭のどれも正常に機能することは出来ません。内臓と繋げて考えみても、歪んだ土台の中で正常に機能することはありません。栄養血管の圧迫があり、臓器そのものの機能も低下していきます。さらに運動をしないということは、外からの刺激も入ってこなくなるため、体は動かないままで生命を維持していこうとします。

このようなことを考えるきっかけになったのは、Aさんを診させていただいてからです。Aさんは毎日の睡眠時間が1〜2時間という生活をもう何十年も続けていらっしゃるのにもかかわらず、内臓は睡眠不足で見られるような弱りを見せていませんでした。お話を伺うと5〜6年太極拳を本格的にやっていたとのことでした。それからは呼吸などをある程度自分の意志でコントロール出来るようになったそうです。その訓練の中で起きていながらにして内臓を回復する術を無意識にせよ身に付けた稀な例ですが、動きの中で訓練することでそのようなことも可能になるものだと知りました。
体を動かせる喜びは動かせなくなってからしか分かりません。動かせるのに動かない、そんな生活で頭ばかりを働かせていては体も動かなくなってきてしまいます。体の緊張は頭が作り出しているのではなく、体全体の統制が取れなくなってきた時に起こるのではないでしょうか。そしてそれは動かない場所を意識することで改善していく可能性が生まれるのでしょう。施術によって動かない部分を動くようすること、そこから気付きが始まるのだと思います。