3.体を丁寧に使う

 

 ヨガや太極拳などをやったことがある人は分かると思いますが、運動はゆっくり行うと速く行う時より数倍疲れるものです。これはゆっくり行うと、普段使わないような細部の筋肉まで、全部を使うことになるからです。逆に「早い動き」というのはごまかしがきくので、誰しも「うまく出来ている」ように感じてしまうものです。ゆっくりというのは「丁寧に体を使う」という意味を持ちます。

 

 どんなスポーツをやっている人でも、その動きを正しく行えているかはその動作を「ゆっくり」やってみると分かります。ゆっくり動くと自分の体のどこがうまく使えて、どこがうまく使えていないかが分かるのです(歩くなどでも同じ)。これは日常動作でも同じことなので、どんな動作もゆっくり行う習慣をつけると「体を丁寧に使う」ことに繋がっていきます。

 

 特に体操などをやっている人では「私は体操をやっているから健康」などという勘違いが起こりやすいのですが、どんな動きも正しく行うのでなければ意味がありません。逆に偏った使い方を訓練してしまえば、体操をしていることで健康を害してしまうことにもなりかねません。ゆっくり行うことに加えて目をつぶって自分の体の動きに集中すると、自分の体の使い方をよく確認することがきでます。

 

 これは体を動かす時にその動きを「味わう」というものです。目で鏡に映る自分の動きを確認するような「外からの感覚」ではなく、目を閉じて自分の内部感覚だけで自分の動きを感じ取りながら訓練することで、体を思うとおりに使うことができるようになっていくのです。