3.断食のすすめ

 

 「断食」というと大変そうな印象がありますが、体の調子が悪い時に一番効果的なのは「食べない」ことです。野生動物は具合が悪くなると、動くのをやめて安静に徹します。その間は食事も摂りません。これは食事での栄養補給が消化という体力の消耗に繋がり、逆に治癒を遅らせるということを知っているからです。治る力を食事から新たに得るのではなく、体内で蓄積されている栄養から用いるのです。

 

 安静ということは「動かない」だけでなく、内臓も休ませるということです。内臓は肺と心臓を除けば、全ての臓器が栄養の吸収や排泄に関わっています。内臓を休ませるには食事をしないことが一番で(水分は構いません)、体も内臓も休ませる本当の「安静」でこそ、体は早く治るのです。実際に動物は治るまで食事を口にせず、治ってから失った栄養の補給をするのです。

 

 断食で体が治るしくみは、この「内臓の安静」にあります。多くの人が内臓をしっかりと休ませていないことから体調を崩すので、断食には劇的な効果があるのです。ただ、断食と言っても「長期的に食べない」とまでする必要はなく、日常の中で「疲れたら食べない」などと、定期的に内臓を「安静」な状態にするだけでよいのです(半日断食やプチ断食などと言われます)。

 

 日本に欧米の栄養豊富な食生活が入ってきたことで、病気はそれまでの2倍に増えました。昔の質素な食生活では、貧しい人の栄養失調はあっても、病気はそれほど多くなかったのです。体は栄養豊富な食事では真剣に栄養を吸収しようとしませんが、少ない食事からは搾り取るように栄養を吸収しようとします。質素で小量の食事からでも栄養を充分に吸収できる胃腸が、健康な体を作るのです。