4.「やすむ」ということ

 

 「やすむ」ということには睡眠やリラックスなどいろんな方法がありますが、本当の意味で「やすむ」ということが出来る人はあまりいません。本当の「やすむ」というのは体だけでなく脳までも休ませることだからです。人間は脳が働いている状態では体はやすめない構造をしています。これは脳を活発に機能させるためには、全身の筋肉を緊張させることで脳に血液を集める仕組みになっているためです。体というのは脳までがやすまない限りは本当の意味でやすむことはできないのです。

 

 体は自律神経と言われる「交感神経」と「副交感神経」の交代で動いています。これは起きている時は交感神経の働きによって体を活発にし、夜休む時は副交感神経の働きによって体を休める(回復)というものです。脳が働いている間というのは交感神経の働きに当たるので、本人がいくらやすんでいるつもりでも、脳が活発に働いている限りは体はやすんでいないのです。テレビが点いている横でいくらやすんでいるつもりでも、それはやすんでいることになりません。考え事をしている時も同じです。

 

 これは睡眠も同じで、寝る直前まで脳が活発に機能していれば体は交感神経の状態にあります。交感神経から副交感神経の交代は本来緩やかに時間をかけて起こるものなので、寝たらすぐに副交感神経の回復が起こるわけではないのです。寝る前が交感神経に高ぶった状態であれば、それが正しい副交感神経の回復状態になるまでに時間がかかってしまうので、長く睡眠をとったにも関わらず体が回復しないといったことになります。

 

 現代の生活は交感神経の「興奮」ばかりで成り立っているため、うまく体をやすめることができない人が殆どです。そうした人にとっては「やすむ」ということにも意識的な訓練が必要です(頭を空っぽにするという訓練です)。